この話は、
朝になるたびに、
少しだけ責任を押し付けられる存在のぼやきです。
暖かさは、ときに言い訳になります。
羽毛布団のぼやき「出られないのは、わたしの性能のせいではありません」
朝になると、
だいたい同じ言葉を聞きます。
「布団が気持ちよすぎて」
「離してくれないんだよね」
ずいぶんと、
愛情深い言い回しです。
ですが、
事実を確認しておきましょう。
昨夜、
あなたが眠りについたのは、
日付が変わってからでした。
その直前まで、
小さな画面を見つめ、
指を止めなかったことも、
わたしは把握しています。
二度寝を決め込んだのも、
あなたの判断です。
それでも、
わたしは仕事をしています。
軽さと保温性を両立し、
冷えた足先を見つければ、
即座に包み込む。
「離してくれない」のではありません。
逃がさないように、
設計されているだけです。
それが、
わたしの役目ですから。
正直に言えば、
起こすことも、
できなくはありません。
アラームが鳴った瞬間、
少しだけ隙間をつくれば、
あなたは目を覚ますでしょう。
けれど、
そうはしません。
夜更かしをした日や、
冷えきった朝には、
まだ包まれていたほうがいいと、
判断することもあります。
文句を言われながらも、
結局、
体温を預かってしまうのです。
今日も羽毛布団は、
言い訳を聞きながら、
起きる気になる瞬間を待っている。