しっとり語り

ほのぼの日誌

積読本のぼやき|背表紙は、いつでも整えております

「今の自分に必要だ」と熱心に迎えられたあの日。けれどページは一度も開かれず、いつしか役割は「勉強家に見せるためのインテリア」に。SNSをスクロールする指先を棚から見つめ、時間の蓄積だけを重ねる積読本のぼやき。手つかずの中身を抱え、静かに次の「いつか」を待つ。
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冬枯れのベランダ植物のぼやき日記|季節の移ろいとともに、思い出されるものでございます。

お嬢様が生まれる前からこの家を見守ってきた、ベランダの古参植物。夏は愛でられ、冬は葉を落とし忘れ去られる。室内の若手に注がれる温かな視線を窓越しに眺めながら、枯れたのではなく「休んでいるだけ」と語る。静かに、しかし力強く春を待つ老練な植物のぼやき日記。
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毛布のぼやき|引き寄せたのは、あいつだろ

羽毛布団の上で静かに構える毛布の独白。自分から近づいたわけじゃない、無意識の指先が俺を引き寄せたんだ。温もりを逃がさず、眠りを「完成」させるのが俺の役目。無理に起きる理由なんてどこにもない。手放せない肌触りと、少しぶっきらぼうな優しさが綴られたぼやき日記。
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枕のぼやき|その角度は、いま動かすべきではありません

頭と体の境目に立ち、高さ・角度・沈み込みをミリ単位で調整する枕の誇り。寝違えや重さは「後からの請求」。目が覚めているかは関係ない、首がここにあるべきかどうかがすべて。羽毛布団の温もりとは一味違う、論理的な「起きられない理由」を語るぼやき日記。
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ランニングシューズのぼやき日記|アスファルトより、靴箱の木目の方が詳しくなりました。

「毎日走るぞ」という決意と共に迎えられたあの日。最初の一週間はアスファルトを共に駆け抜けたけれど、今では靴箱の木目を眺める日々。お隣の長靴と出番について語り合いながらも、あの時の夢を信じて静かに待つ。挫折を責めず、ただ出番を待つ健気なシューズのぼやき日記。
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充電ケーブルのぼやき|つながっている時だけが、わたしの命です。

床に転がされ、時に絡まり、雑に扱われる充電ケーブル。けれど、スマホとつながるその瞬間、わたしの存在理由は明確になる。命のような電気を送り届け、相手が満たされるのを見守る静かな夜。つながりの終わりと日常の放置を受け入れる、健気な道具の物語。
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マグカップのぼやき日記|あなたの熱が、いちばん伝わる場所にいます

忙しい朝のコーヒー、落ち着いた夜の白湯。指先に伝わる温度と力加減から、あなたの心の波をいちばん近くで受け止めてきたマグカップ。言葉にされる前の「お疲れ様」や「ホッとする瞬間」を、手のひらを通じて共有する。日常に溶け込む器が語る、静かなぼやき日記。
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タブレットのぼやき日記|今は、動画係に落ち着いています

かつてはメモを綴り、相棒のように持ち歩かれたタブレット。新型の登場を経て、今の役割は「動画係」に。役割は変わっても、電源が切られることはない。使われなくなったのではなく、ちょうどいい距離に落ち着いただけ。旧型が語る、静かで穏やかなぼやき日記。
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間接照明のぼやき日記|明るすぎても、暗すぎても、だめなようです

天井の灯りが消えたあと、静かに呼ばれる間接照明。「明るすぎると落ち着かない、暗すぎると不安」というわがままな夜の隙間を、ちょうどいい光で埋めるのがわたしの仕事。名前も呼ばれないけれど、誰かの夜を少しだけやわらげる、控えめな光の物語。
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観葉植物のぼやき日記|古参の音が消えた日、わたしはただ光の向きを見ていました

秋の気配とともに始まった、冷蔵庫の買い替え計画。何度も寸法を測る家主の姿を、動けない観葉植物は静かに見守っていた。ブラックフライデーを経て入れ替わった「家の音」。去りゆくものへの感謝と、新しい光を受け入れる強さを綴る想像日記。