ひとり会議 #4.5 ひとり会議を深掘りする方法(応用編)

ひとり会議のステップ④「本音をすくいあげるステップ」は、ゆっくり整えることで前に進みやすい人向けの方法でした。でも中には、その逆タイプもいます。

深掘りすればするほど、かえってスッキリしていく。
原因や構造を、とことん言語化したほうが落ち着く——
そんな “深掘り型” の人がいるのです。

この#4.5は、そんな深掘り型のあなたのための、ひとり会議の応用編です。


深掘り型は「出し切って構造を見たい」タイプ

深掘り型の人は、感情・事実・背景がバラバラなままだと落ち着きません。
だからこそ、頭の中にある情報をぜんぶ出して、多角的に眺め直すことで、ようやく「そうか、こういうことか」と整理されていきます。

ここで大事なのは、
深掘り=難しいことをしている、ではなく、
「対象をいろんな角度から見るクセがあるだけ」
という視点で捉えてあげることです。

深掘り型にとってのひとり会議は、感情でも、行動でも、「そのテーマを多角的に眺める時間」と言えます。

感情テーマを深掘りするときの流れ

まずは「Aさんにイラッとした」「最近ずっとモヤモヤする」など、
感情そのものをテーマにするときの深掘りです。

① まずは書き殴って、感情の勢いを外に出す

最初からきれいに整理しようとせず、
「ムカつく」
「納得いかない」
「悲しい」
などを、そのまま書き殴る。
文章にするというより、「心の声のメモ」を外に移すイメージです。

勢いのある言葉も、そのままで大丈夫。
出し切ることで、少しずつ温度が下がっていきます。

② 「何に」引っかかったのかを分けてみる

少し落ち着いてきたら、感情のテーマを分けていきます。
ここで意識したいのは、「なぜムカついた?」と一本化しないこと。

たとえば、こんなふうに分けていきます:

  • ・どの場面で一番イラッとしたのか
  • ・相手のどんな言葉/態度が刺さったのか
  • ・自分のどんな価値観が踏まれた気がしたのか
  • ・「不公平」「軽く扱われた」など、どんな種類の違和感だったのか

こうして書き出していくと、
「Aさんそのもの」ではなく、
「こういう扱われ方がしんどいんだ」
といったように、感情の正体が少しずつ見えてきます。

③ 感情そのものを“どう扱うか”を決める

感情の正体が見えてきたら、次に考えるのは
「この感情をどう扱うか」です。

  • 距離をとる(関わり方をゆるくする)
  • 相手に伝えるかは保留しつつ、自分の中で「これはしんどい」と自覚しておく
  • 「この価値観は大事なんだな」と、自分の基準としてメモしておく

ここまでくると、
「感情に振り回されている状態」から
「感情を持っている自分が、どう動くかを選んでいる状態」に、すこし移動できます。

行動・スキルを深掘りするときの流れ

次は、
「どう動けばいいか」
「どこを改善できるか」
といった、行動やスキル寄りのテーマを深掘りするときの話です。

ここでは、感情そのものではなく、「やり方」「段取り」「関わり方」に視点を移していきます。

① うまくいっていない状況を書き出す

たとえばテーマが「仕事の段取りがうまくいかない」だとしたら、

  • どんなときに詰まりやすいのか
  • どの作業が負担になっているのか
  • 誰との関わりで時間を取られているのか

といった具合に、「うまくいっていない場面」を具体的に書いていきます。

② 視点を増やして、多角的に眺める

次に、同じテーマを違う角度から見ていきます。
ここではじめて、観察や比較が登場します。

  • 周りの人はどう段取りしているのか観察してみる
  • 真似できそうな部分/真似しなくていい部分を分けてみる
  • 「もし制限がなかったら、どう組み立てたいか?」と一度だけ枠を外して考えてみる

深掘り型の強みは、ここでたくさんの可能性を出せることです。
その分、あとで「どれを選ぶか」が大事になってきます。

③ 現実的に試せる“今日の一手”にしぼる

最後に、出てきたアイデアの中から、
「今日の自分でも試せそうな一手」
だけを選びます。

  • いちばん負担になっている作業だけ、やり方を変えてみる
  • 1人の人のやり方だけ真似してみる
  • 明日から試してみて、数日後にもう一度ひとり会議で振り返る

深掘り型にとっては、「考えただけで終わらせない」ことが大事です。
小さくても行動に落とすことで、「考えすぎて疲れただけ」で終わらなくなります。

深掘り型は「考えすぎの欠点」ではなく、ひとつの才能

深掘りしてしまう自分を、
「また考えすぎてる」
「重たい性格だな…」
と責めてしまう日もあります。

でも実際は、深掘り型にはこんな力があります。

  • 原因を細かく見つけられる
  • 感情と事実を分けて考えられる
  • 改善の可能性をたくさん出せる
  • 構造として理解し直すことで、人にも説明できる

これは立派な認知のスタイル・思考の才能です。
ただ、使い方やタイミングを整えてあげる必要があるだけ。

浅く整えるほうがラクな日には #4 を、
じっくり掘ってから納得したい日には、この #4.5 を——。
そんなふうに、その日の自分に合わせて使い分けてみてください。

浅く整理したいタイプ・沈みやすい日は こちら。

次回予告:ひとり会議の“まとめ方”へ

本音が見えたあと、深掘りでも浅掘りでも、最後に必要なのは「まとめ」です。
次回は、ひとり会議を終えるときに、心と頭をそっと着地させるためのまとめ方についてお話します。