靴下のぼやき|消えた相棒

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この話は、
洗濯界で語られる
ある出来事の記録です。

僕はただの靴下です。

特別な力も、
立派な役職もありません。

それでも、
僕には相棒がいました。


僕たち靴下部隊は、
必ず二人一組で任務に就く。

理由は簡単だ。
人間の足が二本だから。

だから僕たちは、
生まれたときから必ず相棒がいる。

もちろん僕にも、相棒がいる。

同じパッケージから配属された、
同期の靴下だ。

彼は、少しお調子者で、
よく喋る。

待機場でも、
やたらと声が大きい。

ある日ついに、
洗濯カゴ司令官に
こう言われていた。

「戦場でその調子では溺れるぞ」

それでも彼は、
あまり気にしていない様子だった。

「なあ、戦場ってどんな感じなんだろうな」

彼はよく、
そんなことを言っていた。

まるで戦場が待ち遠しいかのように。

僕は正直、
戦場に行くのが不安だった。

でも彼は、
いつも楽しそうだった。


ある日、
ついにその時が来た。

洗濯カゴ司令官の声が響く。

「出陣だ」

主が突如降臨したのだ。

主の手により、
僕たちは次々と戦場へ入る。

——洗濯機。

それは、僕たちの王の支配域であり、
主の天啓により下された
僕たちの不浄を清める神聖な儀式でもある。

水が満ち、渦が起こる。

僕たちは、
互いにぶつかりながら、
回り続ける。

それが戦場(洗浄)だ。

その過酷さは、
僕の想像をはるかに上回った。

大きい先輩布たちが
お互いに絡まりながら
ぶつかり合っているのを
水流の渦の狭間で
垣間見えた。

——なんて恐ろしい光景か。

その中で、
相棒の声が聞こえた。

「おお!すごいなこれ!」

こんなときでも楽しそうだ。

さすがにちょっぴり
呆れてしまった。

でも正直、
そんな相棒と一緒なら
大丈夫だとも感じていた。


やがて、戦場は静かになった。

水が抜け、
回転が止まり、
僕たちは外へ出される。

僕たち靴下部隊は、
第一の試練のみで戦場から脱出できる。

そう、
僕たちは干された。

相棒の姿が見えない気がしたが、
戦場ではぐれただけだろうと思った。

そんなことは、
僕たちの世界では珍しくない。

あの大渦の戦場では、
誰も彼もが前後不覚になる。

大丈夫、
乾けばまた集合する。

そう思っていた。


やがて、
乾いた布たちが集められた。

僕は周りを見渡した。

貴族の方々。
タオル傭兵団。
ネット騎士団。

でも――相棒が、いない。

どこにも、
見当たらない。


このとき僕は、
まだ知らなかった。

洗濯界には、
長年解決していない
ある事件があることを。

今日も靴下は、
戦場の過酷さに怯えながら、
相棒がひょっこり帰還するのを待っている。