遮光している。
きちんと閉めてもいる。
それでも、なぜか文句は入ってくる。
外と内のあいだに立つという仕事は、
目立たず、評価もされにくい。
そんな境界線に立ち続けるカーテンが、
今日も静かに、ひとり言をこぼします。
カーテンのぼやき「遮光していても、文句は入ってきます」
朝、ほんの少しだけ光が差し込んだだけで、
わたしは決まって、責められます。
「え、もう明るいんだけど」
「遮光カーテンじゃなかったっけ?」
ええ、たしかに。
わたしは遮光カーテンです。
遮光も、遮熱も、できれば遮音も。
そのために、ここにいます。
ただひとつ、どうか覚えておいてほしいのは、
わたしは閉められた分しか、
仕事ができないということです。
数センチの隙間。
その数センチは、設置の問題であって、
わたしの勤務態度の問題ではありません。
それでも、朝日は容赦なく差し込み、
責任はだいたい、わたしに回ってきます。
閉め忘れられた夜も、
少しだけ開けられた朝も、
「遮光なのに」
その言葉だけが、きれいに残ります。
外と内のあいだに立つという仕事は、
案外、静かで、地味で、誤解されがちです。
光を遮る。
熱を止める。
音を遠ざける。
それらがきちんとできている日は、
わたしの名前は、いっさい呼ばれません。
文句を言われない一日。
それは、たぶん、
わたしが完璧に仕事をしていた日です。
今日もカーテンは、
境界線に静かに立ちながら、
次にきちんと閉めてもらえる瞬間を待っています。