特別に激しい運動をしたわけではない。
誰かと喧嘩したわけでもない。
ただ普通に出社して、
普通に仕事をして、
のんびり帰ってきただけ。
なのに、なぜか毎日すごぶる疲れている。
鉛のように重たい体、
湯船に浸かってもとれないダルさ。
「なんで私、こんなに疲れやすいんだろう?」
自分が「共感体質」だなんて
1ミリも知らなかった当時の私は、
真面目に原因を分析した結果、
とんでもない見当違いの結論に辿り着きました。
「体力がないんだ!」
これが、地獄のはじまりとは知らず、
筋トレするためにジムに通い始めました。
今回は、共感体質だと気づかずに
見当違いな方向へと走り出してしまった
若かりし頃の私の迷走劇をお送りします。
迷走の始まり。「体力がないから疲れるんだ」という勘違い
周りのみんなが元気に働いているのに
自分だけがへばっているのは、体力がないからだ。
運動不足の身体に喝を入れれば、
疲れにくい体質になれるに違いない。
10代の頃は、朝から晩まで運動していたのに、
社会人になって
非運動の民へと転身したことが敗因だろう。
安易安直にそう考えた私は、
「筋肉は正義!」
迷わず瞬時にジムに入会し、
真面目にせっせと筋トレを始めました。
まだ筋トレブームが到来していないのに
こっそり課金して
マッチョなトレーナーに
厳しくもありがたいご指導をいただきました。
当時の私は、
自分が共感体質だと気づいていないだけでなく
そういう性質があることすら知りませんでした。
つまり、
「外の刺激や人の感情を
無意識に拾い集めて脳が疲労している」
という事実は、
念頭にもありませんでした。
刺激オーバーで心のバッテリーが残量1%なのに、
さらに筋トレという物理的な負荷を叩き込む。
これは、
エンジンから煙を吹いている車に、
アクセルをベタ踏みするような暴挙でした。
人目のない自宅で「電池切れ」多数
ジムで限界まで追い込み、
「今日も頑張った!」と満足して帰宅。
しかし、本当の恐怖はここからでした。
玄関のドアを閉め、
人目のない完全なプライベート空間に入った瞬間、
張りつめていた緊張の糸が
知らず知らずのうちにプツンと切れるのです。
不思議なことに、
「眠い」という感覚は一切ありませんでした。
日中の緊張感や
運動によるアドレナリンのせいで、
頭はむしろ冴えているような気さえしていました。
それなのに、ご飯をモグモグと咀嚼している最中
—— 突然、ガクッと頭が前方へ落ちてくる。
眠気を感じていなかったため
「えっ!?」と驚いて頭を持ち上げるものの、
また数分後には
咀嚼の途中でガクッと落ちてしまう。
眠気を感じていないからこそ不思議でした。
また、休日に
「溜まった家事を片付けよう!」
そう意気込んでいても、
椅子やソファーで
気づかないうちに眠りこけてしまう
ということも多かったです。
ちょっと昼寝しようとして
うっかり寝入ってしまうのなら
理解できるのですが、
ちょっと一息入れようとただ座ったつもりが
気づいたら気を失っていたんです。
これは、
人目がある場所では
「社交モード」のスイッチが切れず、
勝手に気を張り続けてしまうため、
家という安全地帯に入った瞬間に
身体が強制シャットダウンを起こしていたのです。
夜は「反省会」、休日は「気絶」。終わらない負の無限ループ
さらにタチが悪いことに、
そんなに昼間気絶しているくせに、
いざ夜ベッドに入ると一切眠れなくなります。
暗闇の中で横になった途端、
昼間は潜んでいた「脳内反省会」が緊急開幕。
「今日の発言、大丈夫だったかな」
「あのとき相手が一瞬見せた表情の意味は…?」
と、脳内シミュレーションが
無意識にエンドレスで回り始めるのです。
- 平日:気合と仮面で乗り切るが、
夜は脳内反省会で不眠 - 休日:溜まった疲労で、
寝ようと思っていないタイミングで気絶 - 翌朝:やっぱりなんか疲れている……
そうだ、筋トレだ!
完全なる負の無限ループ(笑)。
体力不足どころか、
ただひたすら自分を痛めつけ続ける日々でした。
あとがき
当時の私に声をかけられるなら、
プロテインをシェイクしている手を優しく止めて、
こう言ってあげたいです。
「ちがう、それ筋肉の問題じゃない。
ただの脳の疲労だよ」
体力をつける前に必要だったのは、
外からの刺激をすべて遮断して
「静かな部屋で一人になる時間」でした。
もし今、理由のわからない疲労感に悩んでいて
「筋トレしなきゃ……」と
ジムの入会を検討している共感体質の方がいたら、
まずは一回、
暗い部屋で好きな音楽を聴きながら
大の字になって休んでみてくださいね。