靴下のぼやき|相棒は生きていた

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僕は、2人1組の靴下部隊。

初陣で相棒が失踪してから、
彼の行方を探し続けています。


相棒が消えてから、
少し時間が経った。

靴下失踪事件。

そう呼ばれる話は、昔からあるらしい。

戦場へ向かった靴下が、
戻らないことがある。

理由は分からない。

冥界の門だとか、
未踏の地だとか、
いろいろな噂はある。

だが、
真相を知る者はいない。

僕の相棒も、
その一足になったのだと思っていた。

あの日から、
僕はずっと一人だった。

靴下は、二人一組だから
片方だけでは、役に立たない。

だから僕は、
クローゼットの隅で
静かに過ごしていた。

新しい靴下が来るのか、
それとも、
このまま忘れられるのか。

どちらにしても、
仕方がないことだと思っていた。

その日、
主がクローゼットを開けた。

大きな手が伸びてくる。

僕は持ち上げられた。

そして
――ぽとり。

隣に、何かが落ちてきた。
小さい布だった。

くしゃくしゃで、
少し乾いた匂いがする。

靴下だ。

見覚えのある形。
見覚えのある色。

「……相棒?」

僕は思わずそう言いそうになった。

だが、主がすぐそばにいる。
布は主の前では喋らない。
それがこの世界の決まりだ。

相棒はしばらく動かなかった。

どうやら、
まだ状況が分かっていないらしい。

主は二つの靴下を見て言った。

「あぁ、もう片方もあってよかった」

そして僕たちは、揃えられた。
久しぶりに、二人並んだ。

相棒は少ししてから、
小さく言った。

「いやぁ参ったよ。
タオルに巻き込まれてさ」

どうやら、
第二の試練の間で
ぐるぐる回っていたらしい。

まあ、戦場ではよくある話だ。

それでも、戻ってきた。
それだけで十分だ。

僕は少しだけ安心した。

――そのときだ。

主が、ぽつりと言った。

「靴下も乾燥機いけるんだな」

……なるほど。

どうやら、第二の試練は
これから我々にも回ってくるらしい。

今日も靴下は、
これからの試練に思いを馳せながら、
相棒と揃って役立つ日を待っている。