この話は、
第二の試練をくぐり抜ける我々の、
静かなぼやきです。
熱と回転を怖がる布は多いですが、
タオルにとっては、
そう悪い場所でもありません。
我々はタオル傭兵団だ。
はっきりと言えるのは、
他の布たちより戦場には慣れている。
第一の試練、水の渦。
第二の試練、熱の回転。
どちらも何度もくぐってきた。
他の布たちはよく、
第二の試練を怖がる。
「熱い」だとか、
「回る」だとか、
「上下が分からなくなる」だとか。
まあ、分からなくもない。
あそこはどうしても騒がしい。
布はよく転がるし、
軽い布ほど、よく巻き込まれる。
だが、我々タオル傭兵団は、
あまり気にしていない。
むしろ嫌いではない布が圧倒的に多い。
それは、熱の間は、
意外と居心地が悪くないからだ。
水の戦場をくぐった後は、
少し温かいくらいがちょうどいい。
あの日も、
いつものように第二の試練が始まった。
布が集まり、
回転が始まり、
熱が満ちる。
我々は慣れたものだ。
転がり、ぶつかり、また転がる。
そのときだ。
何かが巻き込まれており、
それは、小さい布だった。
くるくる回りながら、
こちらへ転がってくる。
靴下だ。
軽い布は、こういうことがよくある。
タオルの間に挟まれ、
ぐるぐる回り、また転がる。
そのうち、
すっかり巻き込まれていた。
我々の中に、だ。
やがて回転は止まり、
第二の試練が終わった。
扉が開くとき、
我らの絶対神が顔を覗かせる。
主だ。
この世界を動かす巨大な存在。
布たちを呼び、試練へ送り、
そしてまた戻す者。
主は我々をまとめて取り出した。
どさり。
行き先は、だいたい主の寝床。
ベッドの上だ。
我々はいつものように山になる。
その中に、
あの靴下も混ざっていた。
やがて主が、我々を一枚ずつ持ち上げる。
整え、畳み、重ねていく。
「あれ?」
主が言った。
「靴下混じってた」
ぽとり。
タオルの山から、
靴下が転がり落ちた。
靴下はしばらく動かなかった。
どうやら、
まだ状況が分かっていないらしい。
戦場では、布はよく巻き込まれる。
我々タオル傭兵団にとっては、
珍しい話でもない。
第二の試練は、我々の庭だ。
今日もタオルは、
静かに乾きながら、
次の試練を待っている。