第3章では、3回にわたって
私が職場で都合よく使われて疲弊してしまう
「自滅ループの罠」について
お話ししてきました。
今回からは、
自滅ループから脱出するための実践です。
記念すべき最初の作戦は、
ズバリ「見て見ぬフリ」です。
職場に古くから残っている「非効率な業務」や
「意味のないやり方」を
とことんスルーしていきましょう。
効率主義のセンサーを、あえてオフにする
#69でお話しした通り、
「物事をサクサク進めたいタイプ」は、
職場の非効率なシステムを見つけるのが
大の得意です。
「なんでこの手順を
わざわざ手書きでやってるんだろう?」
「この無駄なルートをこう変えれば、
全体の時間が半分になるのに……」
そんな風に、
より良い改善ルートが見えてしまうのですね。
かつての私は、
その「モヤモヤ」に耐えかねて、
よかれと思ってシステムを使いやすく整えたり、
効率的なマニュアルを作ったりして、
現場のバグを自主的に修正していました。
でも、組織の古いやり方を変えるのって、
実はものすごいエネルギーを消耗します。
そのうえ、必死にシステムを良くしても、
周りは「つむぎがやってくれたからラッキー」と
楽をするだけで、
自分の平穏だけが削られていく。
そこで、新しい運用ルールの導入です。
効率主義のセンサーが
「非効率だよ!」とアラームを鳴らしても、
すかさず手動ブレーキを踏み、
心の中でそっとこう呟いてみるのです。
「ああ、また古いやり方をしてるな」
「気づいたけれど、
このシステムをアップデートするのは、
私の仕事ではないな」
「だから、私は見て見ぬフリをしよう」
「直さなくても、世界は回る」という諦め
「見て見ぬフリ」をするというのは、
冷たい人間になるということではありません。
「この組織は、このやり方のままで、
これまで何年も回ってきたんだな。
だったら、私がわざわざ身を削ってまで
直す必要はないよね」
という、前向きな「諦め」です。
正義感や効率主義をちょっとだけ横に置いて、
あえて古いやり方のまま、
一歩引いて眺めてみる。
最初は「もっと早くできるのに……!」と
ソワソワするかもしれません。
でも、そこをぐっと堪えてスルーしてみると、
意外なほど自分の心に
「凪」が訪れるのが分かります。
システムのバグを修正する
全自動のプログラマーになるのを、
そっとやめてみるのです。
自分の「ノイズ解消」のためには動かない
ここで、私が心に固く誓っている、
とても大切なマイルールがあります。
それは、
「頼まれてもいないのに、
自分が気になるからという理由だけで、
自ら仕事を増やしにいかない」
ということです。
もし、それが
組織としての正式な「企業改革」であり、
自分がプロジェクトの担当者として
正式に任命されたのであれば、
もちろん全力で取り組みます。
そこには正当な権限も、
それに見合うコストも発生しているからです。
でも、そうではない日常の業務の中で、
単に自分の「親切心」や、
「非効率なノイズを消してスッキリしたい」
という個人的な目的のためだけに動くのは、
もう終わりにしました。
気づくことと、
わざわざエネルギーを支払って改善させることは、
まったくの別物です。
非効率に気づいたからといって、
公式に頼まれてもいないのに、
自分の身を削ってまで
システムを修正する義務は1ミリもありません。
無駄な時間を、次のステップへつなげる
職場の「意味のない古いやり方」に対して、
あえて手動ブレーキを踏んで、
見て見ぬフリをする。
これは、自分の大切なエネルギーを
組織に搾取させず、
自分の「ゆるっとすこやかな生活」のために
100%守り抜くという、生存戦略です。
「気づいているのに、あえて直さない」
最初は少しだけ勇気がいるかもしれませんが、
これができるようになると、
仕事中の心の疲労度が劇的に減っていきます。
まずは今日、
職場で「これ、無駄だなあ」と思う
古い手順を見つけたとき、
すかさず心の中でブレーキを踏んで、
スルーしてみることから始めてみませんか。
こうして非効率を見て見ぬフリをすると、
職場には必然的に
「無駄な時間」が生まれるようになります。
次回は、その発生した無駄な時間を、
自分の味方につけてメンタルをハックしていく、
さらに一歩進んだ運用方法をお話ししていきます。
#72 タイパのバグを利用する
〜「無駄な時間=ラッキー」と「時間差提出」の思考ハック
こちらも合わせて読んでみてください。