#68では「脳内の自動アラーム」、
#69では「組織のブラックホール」について
お話ししてきました。
周りのモヤモヤした空気に耐えかねて、
全体の流れをスムーズにするために、
先回りして「名もなき隙間」を
ササッと埋めてしまう。
実は、この
「なんだかんだで、仕事をこなせてしまう」
という器用さが、
ある終わりのない自滅ループの
引き金になってしまいます。
「しっかりやってくれて助かるよ」
「やっぱり、あなたに任せておけば安心だね」
そんな風に周囲から言われて、
最初は「役に立ててよかったな」と思っても、
ふと気がつけば
自分のキャパシティはとっくに限界。
それなのに、
なぜかさらに新しい役割や相談事が
雪崩のように降ってくる……。
今回は、この「こなせる器用さ」が引き起こす
「器用貧乏のエンドレスループ」について、
私がなぜそこまで擦り切れてしまうのか、
その最後のパズルを合わせていきたいと思います。
「承認欲求」との切ないミスマッチ
世の中には、
「人から認められたい!」
「頼りにされて、
どんどんステップアップしたい!」という、
パワフルな承認欲求を
エネルギーにして動ける人もいます。
もし私がそのタイプだったなら、
周囲から頼りにされて役割が増えていくことは、
むしろ大歓迎の
「ウィン・ウィン」な関係だったはずです。
でも、私の本音は、いつだってこうです。
「目立たなくていいから、
省エネで、平穏に生きたい」
頼られたいわけでも、
特別な存在になりたいわけでもない。
ただ、自分の目の前のタスクをスッキリさせて、
静かに過ごしたいだけなのです。
それなのに、
人一倍がんばって「こなせてしまう」がゆえに、
周囲からはこう誤解されてしまいます。
「これくらい余裕でこなせるキャパがあるんだな」
私は日々すり減りながら、
必死に帳尻を合わせているだけなのに、
表向きはスマートに完了させているようにみえる。
この「こなせる器用さ」という強みが、
周囲に「あの人は余裕」という、
都合のいいラベルを貼らせてしまう
原因になってしまっていたのです。
「便利な検索エンジン」としてハッキングされる日
こうして、周囲に
「あの人は余裕がある」
「あの人に聞けば間違いない」
というラベリングをされてしまうと、
ここから本格的な自滅ループが回り始めます。
周りの人たちは、
自分で考えて脳のメモリを使うコストをサボり、
何かあれば
「ねえ、これどうすればいい?」
と、真っ先に私のところにくるようになります。
この器用さが、
他人の「ラクをしたい気持ち」にハッキングされ、
「便利な検索エンジン」にされてしまうのです。
恐ろしいのは、
ここからのエンドレスループです。
- 便利な検索エンジンにされる
- 目の前に「困っている人」や
「未完了のタスク」が出現する - #68で話した「脳内アラーム」が自動発火する
- アラームを消したいから、
また「自動同調」してササッと解決してしまう - 周囲は「ほら、やっぱり余裕じゃん!」と、
さらに都合のいいラベルを補強する
これが、一度ハマると抜け出せない
「器用貧乏のエンドレスループ」の正体です。
必死に頑張ってこなせばこなすほど、
周りのハッキングは加速し、
自分の平穏はどんどん削り取られていくという、
本当に切ない構造になっています。
攻略本を手に入れて、次の章へ
ここまで、3回にわたって、
私が職場で都合よく使われて疲弊してしまう
「構造(バグ)」を、
一歩引いた視点から解剖してきました。
#68 脳が勝手に鳴らす「自動同調アラーム」
#69 効率主義がハマる「組織のブラックホール」
#70 器用貧乏さがゆえの「自滅ループ」
これらはすべて、
性格が弱いから起きていたことではなく、
「共感体質」というシステムが、
職場の環境と噛み合わさったときに起きてしまう
自動エラーだったのです。
原因が分かれば、
もう自分を責める必要はありません。
まずは自分のシステムを
愛おしく受け入れてあげてください。
構造がすべて見えた今、
ようやく、このエンドレスループを止めるための
「実践」へと進むことができます。
他人に勝手なラベルを貼られて、
脳をハッキングされるのは、もうおしまい。
次回は、#71 「見て見ぬフリ」という手動ブレーキ
〜職場の非効率をあえてスルーする技術
をお届けします。
この自滅ループからどうやって脱出していくか、
具体的な実践方法3選を綴ります。
まずは、今日までこの苦痛のループの中で、
本当によく耐えて
現場を回し続けてくれた自分の脳と身体に、
心からの「ありがとう」を
そっと伝えてあげてくださいね。