この話は、
朝の入口に立っているだけの存在のぼやきです。
配慮は、ときに静かすぎます。
アラームのぼやき「わたくしは、たしかに鳴りましたわ。」
わたくしは、
時刻をお知らせしております。
起床を、
強制する装置ではございません。
あくまで、
合図係でございます。
音量は、
控えめに。
音質は、
刺激にならないよう、
やわらかく整えております。
選ばれているのは、
鳥の声です。
朝の光と、
衝突しない音色。
目覚めやすさを、
邪魔しないための、
配慮でございます。
設定された時刻に、
わたくしは、
たしかに鳴りました。
聞こえていなかった、
とは、
存じておりません。
ただ、
動かなかった、
それだけのことです。
下は、
安定しており、
上は、
十分に温かいようです。
触覚も、
姿勢も、
すでに整っております。
その状態で、
無理に大きな音を出すのは、
わたくしの流儀ではございません。
できないのではなく、
選んでいないだけです。
朝は、
こちらが急かさなくとも、
きちんと参ります。
今日もアラームは、
鳥の声を奏でながら、
起きるかどうかを委ねて待っている。