#36 期待の先回りをやめてみる

共感体質シリーズ第4章のアイキャッチ画像

まだ何も起きていないのに、
なぜかもう疲れている。

共感体質の私は、
現実より一歩先の世界で、
ずっとスタンバイしているような状態でした。

誰かが困らないように。
場が荒れないように。
空気が悪くならないように。

起きる前から、
頭の中では対応シミュレーションが始まっている。

でも最近、その状態自体が、
自分をかなり消耗させていたことに気づきました。


共感体質の脳は「未然防止モード」に入りやすい

共感体質は、
「起きてから考える」より
「起きないように考える」方が

先に立ち上がる傾向があります。

トラブルを未然に防ぐこと自体は、
悪いことではありません。

むしろ、社会では評価されやすい振る舞いです。

ただ、共感体質の場合、
この「未然防止」が過剰に作動しやすい。

・相手はどう感じるだろうか
・この言い方で大丈夫だろうか
・あとで問題にならないだろうか

実際には起きていない出来事を、
何通りも想定して、
解釈ログをどんどん積み上げていく。

その結果、
脳の作業机は、
仮想トラブルで埋まってしまいます。

「先回り=誠実」という思い込み

私は長い間、
先回りすることは誠実さだと思っていました。

気が利く。
責任感がある。
大人の対応。

そう振る舞える自分でいたかったし、
そうあるべきだとも思っていた。

でも、振り返ってみると、
実際には起きなかった問題も、かなり多い。

起きたとしても、
振り返れば、
あとから十分間に合ったものが、ほとんどでした。

それでも先回りをやめられなかった理由は、
たぶん単純で。

自分が疲れることより、
場が乱れないことを優先してきた
のだと思います。

「起きてから対処する」は、放置ではない

先回りをやめる、というと、
何もしないことのように聞こえるかもしれません。

でも、私がやめたのは「対応」ではなく、
対応するタイミングです。

事前に全部処理しようとするのをやめて、
起きてから対処する。

それだけで、
脳の作業机に載せる情報は、
驚くほど減りました。

・Aさんが不機嫌だった
・Bの連絡が遅れた
・会議が長引いた

実際に起きた事実だけを、
その都度、机に載せればいい。

起きていない仮定は、
そもそも載せなくていい。

先回りをやめてみて起きた変化

一番大きかったのは、
頭の中の「常時スタンバイ感」が減ったことでした。

何も起きていない時間が、
ちゃんと「何も起きていない時間」として、
残るようになった。

そして、実際に何かが起きたときも、
以前より落ち着いて対処できています。

「来たな」
「じゃあ、ここから考えよう」

そんなふうに、
必要なときにだけエンジンをかけられる。

対処の質が下がったわけではありません。

減ったのは、
消耗だけでした。

おわりに:調整とは、全部を抱えることではない

共感体質には、
先を読んで整えられる性能があります。

でも、
それを常時フル稼働させる必要はありません。

使うこともできるし、
使わない選択もできる。

期待の先回りをやめることは、
冷たさではなく、
自分のエネルギーを守る判断です。

調整とは、
全部を抱えることではなく、
必要なときに、
手を伸ばせる余白を残すことなのかもしれません。


次回予告

次回は、
調整をやめて、余白が生まれたあと。
必要だったのは、
意図的に「何も入れない日」をつくることでした。


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