マグカップのぼやき日記|あなたの熱が、いちばん伝わる場所にいます

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この話は、
日々の飲みものを通して、
手のひらに近い距離で過ごしてきた
マグカップのぼやきです。

忙しい時間も、
力を抜く時間も、
変わらずそばにあった視点から、
静かに語られます。

マグカップのぼやき日記|あなたの熱が、いちばん伝わる場所にいます

わたしは、
だいたい両手で持たれます。

忙しい朝も、
少し落ち着いた夜も、
いちばん近くで触れられる役目です。

仕事中にコーヒーが注がれるときは、
持つ指先に、少しだけ力が入っています。

画面を見つめながら、
考えごとをしながら、
気づけば、ずっと握られたまま。

「熱いね」
と言われることもありますが、
放してもらえることは、あまりありません。

夜になると、
白湯や、少しぬるめのお茶が入ります。

そのときの手は、
昼間よりも、ずいぶんやわらかい。

急いで飲まれることもなく、
何かをしながら、
ただ、そばに置かれている時間が続きます。

中身が変わっても、
わたしの役目は、あまり変わりません。

温度を受け止めて、
それを、そのまま手に伝える。

うれしいとか、
落ち着くとか、
そういう言葉は、たいてい、あとから聞きます。

でも、
あなたの熱が変わったことは、
だいたい、最初にわかります。

今日もマグカップは、
手のひらに触れながら、
次のひと口を待っている。