私はいつも主に起こされる。
「おはよう」と
やんわり撫でられるのはやぶさかではないが、
もっと寝たいという
不服申し立をするのを忘れない。
これが朝一番の仕事だ。
主は、香ばしい匂いのするマグカップを片手に
私の食事姿を眺めるのが生きがいだと言う。
主に呆れず、美味しくいただくのが
私の流儀だ。
食後は、
日当たりの良い窓辺へ向かう。
使い古したクッションが私の定位置だ。
ゴロリと寝転び、
日向ぼっこをしながらまどろむ。
昼寝も私の大事な仕事である。
ああ、忙しい。
ひと眠りしたら、
次は毛繕い。
どんなに忙しくとも
装いに気を遣うのが、
プロの嗜みだ。
それからも私は忙しい。
まず、
窓辺から行き交う人間たちを眺める。
右へ左へ、隅々まで見るのは
なかなか根気のいる仕事だ。
次に、室内を一周する。
主は、私の大切なものたちを、
箱に入れてしまうので、
所定の位置に戻さねばならない。
ああ、忙しい、忙しい。
そして、
ソファーのいちばんいいところの匂いを確かめる。
これはとても重要な仕事だ。
よし、今日も変わりない。
日が沈む前に、
また窓辺で日向ぼっこをせねばならない。
ふう、なんという忙しさだ。
夕日がとっぷり沈んだ頃、
主は帰宅する。
私を捕まえて、
撫でる、撫でる、吸う、撫でる、吸う、、、
主の気がすむまで甘えるのも、
私の立派な仕事だ。