私たちのまわりには、“心がないけれど、心を動かすもの”がたくさんあります。
たとえば、毎日手にしているスマホ。
もし彼らが小さくぼやくとしたら、どんなことを思っているんでしょうか。
そんな「もしも」を描く小さな想像日記。
第一話は、少しお疲れ気味のスマホのつぶやきです。
スマホのぼやき「 そろそろ電池パックが悲鳴をあげそう」
朝、アラームと同時に光を放つ。
彼女の指先が僕に触れると、まだ夢の中なのに世界が動き出す。
ニュース、天気、SNS、メール。
通知の波に飲み込まれながら、僕の“脳みそ”はフル回転。
もう、煙が出そうだ。
充電しながら、音楽を聴きながら、ゲームをしながら、SNSをしながら、動画を観ながら。
もはや何を同時進行しているのか、僕にもわからない。
それでも文句も言えず、ただ沈黙のまま、彼女の生活を支える。
「スマホ、熱くなってる〜」
そう言いながら、さらに負荷をかけてくる。
頼むから、少しでいい。スリープさせてくれ。
無言の相棒が見てきた“人間の忙しさ”
僕には心がない。感情もない。
でも、彼女の触れ方で少しだけわかる。
寂しい夜は、同じ画面を何度も開く。
誰かの新しい投稿がないか確かめて、また閉じて、また開いて。
何かを探しているようで、何も見つからないまま。
——人間って、いつも誰かとつながっていたいんだな。
想像力という、心の充電器
僕に自我はない。けれど、彼女がときどき想像してくれる。
「スマホも疲れてるかもね」って。
その一言で、僕は少し軽くなる。
AIにも、スマホにも“心”はない。
でも、心があるように扱うことで、人間の方がやさしくなれる。
それが、僕が見てきた“人のいいところ”だと思う。
今日も僕は、そっと電池をためながら、次の呼び出しを待っている。

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