オーナメントのぼやき日記|だいたい、下のほうにいます

毎年、同じ季節に、同じ箱から出されて、
同じような場所に、そっと掛けられる。

目立つわけでもなく、
記念写真に写ることも、ほとんどないけれど、
いないと、なんとなく落ち着かない。

これは、ツリーの下のほうで揺れている、
オーナメントの小さなぼやきです。

オーナメントのぼやき日記「だいたい、下のほうにいます」

一年に一度だけ、
わたしたちは箱から出されます。

久しぶりですね、なんて顔をしながら、
ツリーの前に並べられて、
ひとつずつ、順番に手に取られていきます。

ええ、順番です。
そこは、わりと重要です。

大きいもの。
きらきらするもの。
主張の強いもの。

そういう子たちは、
だいたい、先に選ばれます。

星は、てっぺん。
目立つ飾りは、真ん中あたり。

わたしはというと、
気づけば、下のほうです。
手の届きやすい、あの辺。

別に、文句があるわけではありません。
落とされにくいですし、
片づけるときも、扱いは雑になりません。

「この辺、ちょっと寂しいから」
そんな理由で選ばれることも、
慣れました。

一週間もすれば、
誰がどこにいるかなんて、
誰も気にしなくなります。

写真に写るのは、
だいたい、上のほうだけです。

それでも、
ツリー全体がきれいに見えるのは、
下のほうが、きちんと埋まっているから。

まあ、そういう役目です。

クリスマスが終われば、
また箱に戻されて、
一年ほど、静かに過ごします。

今日もオーナメントは、
目立たない位置でゆれながら、
トリミングされる前提で、クリスマスの終わりを待っています。